農夫の尻の匂い
- 2024/02/26
- カテゴリ:農夫の野糞
「次は肥料だ。袋、持ってこい。」
親父さんの横で重たい袋の口を開けると、ぷわーんと化学肥料の臭気が風に運ばれていく。太陽は本格的に午前の光と熱を地上に浴びせ始めている。
「袋、開けておけよ。俺が動いたらついてこい。」
徳田さんはそう言うとシャベルで肥料をすくい取り、畝になるはずの細長い穴へと丁寧にまいていった。少し腰を屈めて、穴の具合を確かめようと禿げ頭が乗り出している。
私も徳田さんの穴の具合を確かめよう。肥料をまく親父さんの視線はこちらに向いていない。袋の口を広げておき、さっと農夫の尻に顔を押しつけた。
くせっ、くっせえ!草刈りのときに私が何度も尻の割れ目をこすり続けていたためか、穴の位置がはっきりと分かるほどぷわーんと芳醇なギンナン臭が鼻を貫いた。
化学肥料よりずっと臭い。鼻に染みる。そもそもこの親父、尻をちゃんと拭いていない。拭くのが苦手なんだろう。
ぐっと屈んだときの尻はすごくでかい。仮に私の顔を二つ並べて押しつけたとしても完全に隠してしまうくらいの張り具合だ。穴まで手が届かないか、届くのにも一苦労するのではないか。
ああ、くせえ。改めて嗅ぐと徳田さんの尻はものすごく臭い。毛にもウンコが付いていそうだ。
基本的にいつも野糞しているのだから当然和式の格好で糞を垂れて、当然ウォシュレットとも無縁なのだ。くせえ、くせえなあ。
穴の辺りは熱く湿っている。そこに鼻を突っ込み、深い割れ目の間でふがふがと親父の恥ずかしい匂いを嗅ぎ回す。
妻にも子にも嗅がれたことのない、この禿げ親父の尻穴の湿った匂い。このデカケツ農夫の穴がひどくギンナン臭いということは誰も知らない事実なのだ。
くせっ、くせっ。くっせえ、くっせえ。くせえなあ、くせえなあ。
「おい!袋の口押さえてねえと閉じちまうぞ。」
はっとして顔を上げると、風にあおられて肥料の袋の口がひしゃげていた。慌てて広げ直す。
「おめえ、今何してたんだ?」
徳田さんが低い声で聞く。この口調のときはなんとなく二人だけの秘密の話題を持ちかけてきている気がする。だから私も正直に答えてみる。
「お父さんが畝の穴の具合を確かめていたので、私もお父さんの割れ目の穴の具合をと思って。」
徳田さんはへへっと軽く笑って私の麦わら帽子をシャベルではたいた。
「確かめたのか?その帽子が腰に当たるからすぐ分かるぞ。おめえ、やっぱり変態だなあ。確かめてどうすんだ。」
親父さんが移動したので私も袋を持ち上げてついていく。シャベルで肥料をまき始めると、再び農夫のデカケツに顔を埋めて一番臭い場所を探し当て、ふがふがと穴の具合を確かめた。
(こいつ、また俺のケツの匂い嗅いでやがる。)
徳田誠一は作業の手を止めずに、腰にとんとんと当たる帽子のリズムに合わせて肥料をまいた。
そもそも、帽子が当たろうが当たらなかろうが、男の顔がぴったりと自分の尻に押し当てられているのだ。気づかないふりをするのも一苦労なんだぞ、と徳田は半ば呆れていた。
男の圧力は強くなる一方だ。鼻の力で作業ズボンごと尻の割れ目が開かされ、ちょうど尻穴のところにぴったりと鼻を押し当ててふがふがと深呼吸されている。
男の鼻息がズボンやパンツを通り越して尻の穴に直接当たり、熱く感じるほどだ。自分の尻の匂いで呼吸していると言っていい。
(そんなに俺のケツの匂いが好きか?どら、その鼻が抜けねえようにケツで挟み込んでやるべ。)
徳田は腰を屈めた体勢で尻たぶにぐっと力を込めた。両膝を外側へ開いてまでして男の鼻を押しつぶさんばかりに尻の割れ目を締めて左右の圧力をかける。
男の鼻が尻穴に密着する。息がものすごく荒い。自分の尻の匂いを思う存分嗅ぎ回しているのだ。
(どうだ、俺のケツの匂いは?くせえか?くせえだろ?女房も子どもらも嗅いだことねえケツの匂いだぞ?おっと、屁がこきてえなあ。このままこくか。)
ぐぶうぅぅぅぅぅぅ。パンツから男の鼻まで震わす低音の長い屁だった。後ろでぐふっとむせている。
ぶぶぶうぅぅぅぅぅぅぶっ。今度は無断の尻嗅ぎをとがめるような、若干いらついた長いラッパだ。後ろでくせっとうめいている。
(くせえだろ?おら、もう一発だ。食らえっ。)
ぐぶぶぶぶうぅぅぅぅぶぶぶっ。ぐぶぶびびびりりりっ!
(ん?ちょっくらちびっちゃったか?まあ、いいか。俺のくせえケツで窒息しちまえ。)
後ろではくせえくせえ言いながら熱い鼻息を尻の穴に繰り返し押し当てている。とりあえずそのままにしておいて肥料をまき続けた。
袋の移動とともに、男の鼻はどこまでも自分の尻の穴にくっついてきた。首が不自然に曲がり凝り固まるのではと心配するほど長い時間だ。
(そろそろ糞がしてえなあ。どうするべ。)
「いつまでやってんだ!こら!昼飯にするぞ!」
徳田の叱咤に若者はやっと尻から顔を上げ、久しぶりの外での呼吸を乱しながらもにやっと歯を見せた。徳田もにたっと歯を見せてやった。