巡査の尋問#2
- 2016/10/14
- カテゴリ:公園管理日誌
よく晴れた気持ちのいい午前中だというのに、公園を歩かされるワシの心は暗く沈みきっていた。
終わりじゃ…終わったんじゃ…。その建物に近づくにつれ、ワシの未来が確実に破滅的なものとなっていくようであった。
公衆便所の男子側の入り口で、唐井巡査は「検証中 立入禁止」と張り紙をした。全く、用意周到な刑事だ。
「まずは手前の個室からだ。」
ワシをぐいと押し込むと、目の前の洋式便座の蓋を開け、水溜まりの中に、ぽちゃん、とパンを放り込んだ。
「かびたパンだ。レバー押してみろ。確か、排水管が壊れて流れないんだったよな?」
やるしか、ないのか…。
「唐井さん…勘弁して…頼む…。」
ワシはここに来るまで何度も口にした言葉をまたつぶやいた。が、事態が好転するわけはなかった。
「流れないはずだよな?やってみろ。」
手でぐいとレバーを押し下げた。すぐに水溜まりが波立ち始めた。
ごぼおぉぉ、じゃあぁぁぁぁ…!
勢いのよい水流に飲み込まれて、パンがみるみる消えていく。
「どうだったか、言え。」
「…ちゃんと流れました。」
次に、奥の個室へ押し込まれ、また自分でパンを流すことになった。
「どうだ、管理人。故障してるか?」
「…きれいに、流れました。…故障してません。」
急に涙がこみ上げてくる。
改めて、二つの個室の前に立たされたワシに、唐井巡査がゆっくりと問う。
「…個室は二つとも故障していない。そうだな?管理人。」
「はい…二つとも、故障してません!」
最後のほうはほとんど泣き声になっていた。
その絶望的な回答を聞いたとたん、大きな二つの手がワシの両肩をがしっとつかみ上げた。そのまま力任せに便所の床に押し倒された。
「職権使って市民の皆様をごまかしてんじゃねえぞ!!ド変態じじい!!」
ばあん!
星が飛んだ。平手を食らったようだ。ワシは泣いていた。
「てめえ!公園の管理人!何やらかしたか分かってんだろうな!」
ばあん!ばあん!馬乗りになった刑事から情け容赦のない往復ビンタが飛んできた。
「太った親父の糞を食らうのが好きなんです!じゃねえぞ!笑わせんな!」
ばあん!ばあん!
刑事を笑わせたのかどうかさえ、涙と衝撃で全く見えない。炎が爆発するように、怒りを露わにしているようにしか思えなかった。
「被害者の気持ちを知れ!古賀さんはな、てめえにしつこくされてひどく悩んでるんだぞ!てめえはストーカーだ!」
ばあん!ばあん!ばあん!
古賀くん…。ワシのせい…。古賀くん…。ワシは、ストーカーだったのか…。
張り手の嵐の中、不思議と痛みはなかった。深い絶望感に押しつぶされながら、とにかく入れ歯が飛ばないよう口を開けて耐え続けた。
制帽に制服が凛々しい、ゴツムチの唐井巡査。いい男じゃなあ。男盛りの血走った目がまたすこぶるカッコええ。そそられるわい。
ああ、この凶暴な巡査の尻にはまだべったりと下痢糞がこびりついているのだ。一度も拭かれていない、黄色の下痢糞が。
くせえだろうなあ。ピンク色したケツの穴。こんな、鬼のように怖い親父なのに、穴はきれいなピンク色なのだ。尻も拭かない親父なのだ。
なめたい、唐井さんのケツの穴、なめさせてほしい。唐井さんのくっせえ糞、食わせてほしい…。
「人の糞を盗み食いしやがって!付きまとって無理矢理糞食らいやがってよ!
古賀さんに権藤さんに黒田校長か!太った親父の糞がそんなに好きか!
だったら!俺の糞も食らうか?!俺も太った親父だぜ?!どんぶりまで準備して、食うつもりでしたって言ったよな?!
俺様の糞が食いてえだろ!言ってみろよ!言え!!ド変態!!」
あっ…。
便所の床に転がされたワシの上にまたがっている、制服のズボンが。真ん中が。
…がちんがちんに膨らんでいる。押さえつけられた太い性器が山を作っている。
無意識のうちに、ワシはその大きな山へと手を伸ばした。弱々しく、それでも力いっぱい、握り込む。
…そこは、鉄のように硬い警棒が制服ズボンの生地を内側から隆々と押し上げていた。ズボンの上からでも分かるほど、熱く熱く脈打っていた。
そして、鉄拳制裁の嵐がぴたりと止んだ。