引っ越し屋の親父#4

俺んちの狭い玄関に倉森さんのごつい体が入ると、この前嗅いだ彼の体臭が鼻をくすぐった。
タバコが少し香る、汗臭くて脂っこい加齢臭だ。
この匂いが俺のマラを硬くする。成熟した大人の匂いって感じ。
勇気を出して言ってみたかいがあった。マジで来てくれるなんて。
「お邪魔します。」
礼儀正しい人だ。靴をそろえるためにぐっとかがむ。突き出されたでかい尻の割れ目に、俺は指を這わせてしまった。
匂いを嗅ぐと、くーんとウンコの匂いが抜ける。この人、やっぱりケツをちゃんと拭けないんだ・・・。
「今、触ったか?」
立ち上がりながらこちらに顔を向けて低い声で尋ねてくる。
じっと俺を見てる。怒ってるかな・・・。
「怒ってねえよ。ケツ触っただろ。臭かったか?俺まだケツ拭くの苦手なんだぜ。」
俺は変な愛想笑いをしてしまった。もっとあからさまに、臭かったです、って言ってみたかったのに。
ってか、ケツ拭くの苦手だって自分から言ったよ。きったねえケツだなあ、って俺に言われたことを覚えてるんだ。
「荷物、君にも持たせちまって悪かったな。」
「いえ。どうぞお上がりください。」
「失礼しまーす。」
倉森さんは作業着も着てないのにわざと引っ越し屋の親父の明るく丁寧な口調で部屋の中に入ってきた。意外と茶目っ気のあるおじさんなんだな。
「いやあ、またここに来るとは思わなかったよ。あれから3ヶ月くらいか?」
「そうですね。」
「きれいに片づいてるなあ。俺なんか、未だに引っ越したときからほどいてない荷物あるぜ。かみさんに早く片づけろって急かされてんだ。
最近の若い子はきれい好きで偉いよな。」
俺は倉森さんにベッドに腰掛けてもらった。ちょうど枕元の近くだ。
「サンキュー。もしかして、ここに座らせて、俺が帰ったらケツの匂い嗅ぐ気だろ。」
今度は愛想笑いを押しやって答えた。
「はい。さっきの指、すげえウンコ臭かったんで、そこに座ってくれたら倉森さんのウンコ臭いケツの匂い嗅ぎながら寝れるなあと思って。」
「かえって寝れなくなるんじゃないか?俺のケツはくせえぞ?」
自分からケツくせえアピールしてくるなんて、あの恥ずかしい記憶をネタに変えようとしてるのかな。
と、倉森さんが俺の硬くなってる股間を鷲掴みにした。
「かてえなあ。」
目は笑ってる。なんか、結構大胆な人みたいだ。
「倉森さんってゲイですか?」
「ホモなわけないだろ。あ、すまん。バカにしたつもりじゃねえからな。食おうぜ。」
俺は机をベッドに引き寄せ、倉森さんの隣に座らせてもらった。
お互いの太腿がくっつく距離で、俺たちは買い込んだ晩飯を食った。
とにかく、倉森さんの食べ物のボリュームがすごい。唐揚げ2パックをあっという間に平らげた。
ほとんど噛んでない。冷凍してあるウンコにも、肉がそのまま入ってたりするもんなあ。ウンカスいっぱい付いた肉は、食うとすげえまずい。
「倉森さん、ほんと食いますね。」
ぶっとい太腿を遠慮がちになでながら俺は自分が食うのも忘れて彼の大きく開く口元を見つめて言った。
「あんまりじろじろ見るなよ。これぐらい食わないと体が持たねえからな。毎日重たいもんばっか運んでんだぞ。」
俺は遠慮するのをやめて、太腿の筋肉をがしっと確かめた。
「すごい筋肉ですね。」
「下半身は特に鍛えてないと駄目だな。若くてもすぐ体壊して辞めてく奴が多いんだ。ふくらはぎも触ってみろよ。」
えっ、いいの?むしゃむしゃ食べまくってる倉森さんの足下に体を潜らせ、この際とばかりに両方の太腿の外側も裏側も、そして内側も触った。
内側を触ったら手で払われるかと思ったら、「おお、いいとこ触ってるな。」と言ってぐうっと内腿に力こぶを作った。
「うわあ、こんなところにも筋肉が付くんですね。」
「付くぜ?すげえだろ。早くふくらはぎ触ってくれよ。ぱんぱんに膨らませてやるから。」
むしろ、ぱんぱんに膨らんだおじさんのチンポを触りたいです、とはさすがに言えず、俺は両手をふくらはぎにあてがった。筋肉自慢をしたいタイプらしい。
ただでさえ俺の倍くらい太いのに、「ふんっ!」と力を込めた倉森さんのふくらはぎはまるまる太った鶏みたいになった。めちゃくちゃ硬くて弾力性がある。
こっそり靴下を触って手の匂いを嗅いだけど、ちょっと臭いだけで強烈な納豆臭はしなかった。
「これでも結婚してるからな。靴下は毎日取り替えてんだ。期待に添えなくて悪かったな、へっへっへ。」
しっかりばれてた・・・。そこまで臭いのを期待してたわけじゃなかったんだけど。
照れ隠しに再び内腿の筋肉に触れた。倉森さんがぐうっと力を込めてくれる。
こぶがすげえごりごりしてる。両方の内腿を同時にさわさわと、しばらく触らせてもらった。
俺は素直に感激しながらベッドに座り直し、自分の晩飯に手を付けた。
「マジすごいっすね。ケツの筋肉も鍛えてるんですか?」
「鍛えてるよ。この前、君が罰としてケツたたきしただろ。硬くなかったか?」
「硬かったです。手が痛くなりそうな感じでした。
それに、ケツに抱きついて穴をなめたときも、割れ目のところが結構硬くてびっくりしました。」
倉森さんは「そうか。」とつぶやいて苦笑いした。
「俺はあのとき君にいろいろされてとにかく恥ずかしかった。
最後に俺のガタイが好みだって言われたからやっと分かったけど、最初は何のためにこんな目に合わせるのか不思議でしょうがなかったんだぜ。
君はやっぱり、俺みたいながっちりしたおじさんが好きなのか?」
俺はうなずいた。はっきり言うのはなんとなくためらわれた。
「世の中いろんな奴がいるんだなあ。この前一緒に来てた奴も君と同い年で24歳だぜ。俺のこと、すっげえいやがってるぞ。」
話し方が高圧的だからだと思う。たぶん、ミスしたら殴られそうだし。
しかも筋肉自慢。ペアで働くには俺でもちょっといやかも・・・。
「でも、おんなじ24歳でもガタイがいいだけの俺が好みだって言う君がいるんだから分かんねえもんだな。」
いやいや、分からないのは本人だけで、倉森さんはめちゃくちゃもて筋です。ケツは臭いけど。
それに、男にもてること、内心では気づいてそう。だから、自分はホモじゃないってさっき全否定したんじゃないかな。
「そろそろ飲むか。ビール持ってきてくれよ。」
倉森さんの前は食べ尽くした肉類のパックが残骸になっていた。一人で大きなおなかをさすって「ああ食った食った。」って満足そうにつぶやいてる。
俺はまだ飯の途中だったけど、冷やしといてくれと頼まれていた缶ビールを冷蔵庫まで取りに行こうとベッドから立ち上がった。