ロマンスグレーの敗戦#2

「あの・・・なんで・・・。」
駅員室のドアをくぐる紳士の足取りが定まらない。まるで千鳥足だ。尻の筋肉を強く締めながら歩くのだから無理もない。
「ずいぶん前の日付の入場記録はあるんですけどね。失礼ですが、お客様の定期券ですよね?」
「当たり前だよ!昨日も使ったんだよ!」
目をつり上げ、ぶち切れる紳士。
ぐはは、聞き分けのない子供みたいな顔してるぜ。あんまそそらせんなよ。
ばたんとドアを閉めて、俺と紳士だけの空間を作る。事務机までつれていくが、足がもうがくがくだ。
全身から汗が吹き出し、それこそ尻のほうまでスーツがびっしょりと濡れてきている。
おかげで男の年相応の体臭が夏の室内にむっとこもる。
「では、念のため確認しますので、こちらでお名前とご連絡先を・・・。」
びぶううう!
俺の話を遮って、ものすごく汚い音の屁が紳士の尻で鳴った。
とたんに顔をひきつらせ「ごめん!」と謝られる。
それは、その下品な放屁音に対してか?それとも、鼻をつまみたくなるような卵臭いガスの匂いに対してか?
「お名前とご連絡先を・・・。」
ぐびぶううういいい!
うほっ、また屁しやがった。ズボンの中で尻穴を震動させるせいで、きったねえ放屁音が数秒間続く。
紳士はもはや「うわ!」としか言えなくなっていた。全身をひきつらせ、その場で足踏みが止まらない。
鶴田さんの下痢糞はもうそこまで来ているらしい。
腐った卵を濃縮したような、極悪な臭気が鼻に刺さる。決壊の危険信号だ。
「ええと、お名前は・・・。」
「鶴田です・・・鶴田・・・賢三・・・うう・・・。」
ぐぶびびび!
がくがくがく。親父の体がひきつけを起こしたように震え出した。黒カバンを持つ手までぷるぷると。
顔がますます青ざめていく。ふう、うう、ふう、うう、と呼吸に男臭いうめき声が混じる。
今の屁の臭さがやばい。もうすぐだ。
「ご年齢は?」
「ううう・・・うう・・・60・・・60うっ!ああっ・・・あああっ・・・!」
みるみるうちに泣きそうな顔になっていく。
きりりとしていた目にうっすらと涙がにじみ、捨てられた小犬のような哀れな目で俺に助けを求める。
がたがたがたがた・・・とうとう両手で腹部を抱え込んだ。
そのまま恥もなく激しい足踏みを数度続けたロマンスグレーの紳士が、ぴたりと動きを止めた。
背も高く、筋肉に程良く脂肪の乗ったたくましい体つき。ぐっと噛み締められた口元に、最後まで戦う男の意志が宿る。
刹那、下半身がわなわなとけいれんし、さざ波のように全身へと広がっていった。両腕が弛緩し、力なく下へと垂れていく。
「ああ!あああ!あああああ!!」
きっと奥さんとのセックスでもそんなふうにいくんだろうな。
俺は紳士が散り際にさらしたあへ顔を冷めた目で見届けると、素早く背後に回り込んだ。
 
圧倒的な便意に立ち尽くすことしかできない親父の後ろにしゃがみ込むと、
濃紺のズボンの上から引き締まった尻にそっと顔を埋めた。
屁の残り香はあるものの、ウンコ臭くはない。きちんとウォシュレットされた、清潔な尻穴に違いない。
と思ったのもつかの間。
ぐぶりゅりゅっ!
ぶじゅじゅううううう!ぶりゅぶりゅぶりゅぶりゅぐぶりゅりゅぶりゅびちびちびぶぶじゅぶじゅじゅぶりゅりゅぶりゅぶりゅぐぶりゅ!
ついに、鼻を埋めた割れ目の奥の清潔な尻穴から大量の熱い下痢糞の噴射が始まった。
くっせ!あっという間に、鼻が根本からもげそうなほどの強烈な臭みがズボンの中に爆発する。
ぐぶりゅぐぶりゅぶりゅりゅぶりゅぶじゅじゅぶじゅびちびちびちぶじゅぶりゅりゅりゅぶりゅりゅびちびちびちびち!
溜まりに溜まった60男の下痢。耐えに耐えた親父さん。
よくがんばったなあ。すげえ、くっせえぞ!きったねえぞ鶴田!
肉カスと水分とガスをたっぷり含んだ大便が男の尻穴を強制的に震わせて、形容しがたい排泄音を立てる。
まさしく下品極まりない爆音だ。
匂いもまた激臭と呼ぶにふさわしい臭さだ。あんなかっこいい顔して、腸の中は悪玉菌だらけってわけか。
おら、もっと出せよ。
俺は前に回した手で拳を作り、紳士の腹でノの字を書いた。腹筋にめり込むほど深々と、腸を左下に向かってえぐる。
びじゅぶううう!
ぐぶりゅぐぶりゅぐぶりゅびちびちびちびちぶりゅぶりゅぶじゅぶじゅびちびちびちびちぐびびびぐぶりゅぐぶりゅりゅ!
「あああ!あああああ!ウンコ!漏れるう!あああああ!あああああ!!」
悲壮感に満ちた初老の紳士の叫び声はもう半泣きだ。あまりのことに現実を受け止められないのだ。
しかし、尻のほうは受け止めてくれとばかりに力強く大量の汚物をパンツの中にあふれさせる。
俺の顔の前でズボンがどんどん膨れ上がっていく。
鼻めがけてぶちまけられる下痢とガスの圧力に、男の体内の情熱的な温度に、そして突き抜けるくっせえ下痢臭に俺は酔った。
濃紺の生地が徐々に茶色に変色しはじめ、つんと来る下痢汁で尻全体がじっとりと濡れていく。
ぱんぱんのズボンが湯気を上げはじめた頃、自らの重みと容積に耐え切れなくなった下痢が一気に反乱した。
ぐびびびぶりゅりゅぶりゅびちゃびちゃびちゃぼとぼとぼとぼとぶびびぶじゅじゅぶじゅびちゃびちゃびちゃびちゃ!
きっとトランクスなのだろう。一度反乱してしまった川は止められない。
床に茶色の海が形成されると、そこから猛烈な悪臭がもうもうと立ち上り、駅員室を便所に変える。
おらおら、全部漏らしちまえよ。立ち小便ならぬ立ち下痢だぜ。
俺の拳がぐりぐりと親父の腹筋をなぶり上げ、地獄のノの字で便意をあおる。
抗うこともできない鶴田君は、あっあっと断続的な絶叫を上げて、尻からの排便で応えてくれた。
ぶびびびじゅううう!
ぐぶびびぶりゅぶりゅぶりゅりゅりゅびちびちぼとぼとぼとぶじゅじゅぐびぶりゅりゅりゅびぶじゅぶりゅびちびちびち!
「くっはあ!くせえ!くっせえ!鶴田賢三の下痢糞くっせえ!こんなに漏らしやがって!ケツきったねえ!うわ、きったねえぞ!」
俺は熱い下痢が染み出すズボンに鼻をこすりつけ、尻たぶにほおずりして顔中を下痢臭くしながら、
聡明な還暦親父の恥ずかしいお漏らしを小声でののしり続けた。
尻の嵐が収まっても執拗に腹筋をえぐる。すると。
ぐぶびっ!ぐぶりゅっぶりゅりゅっぶじゅううううう!びぶりゅりゅりゅりゅりゅぶううういいいいい!ぶりゅりゅりゅっ!
大量の排泄物をぶくぶくと泡立たせて、長く尾を引くような屁と下痢が豪快にフィナーレを飾った。
こうして毛並みのよいロマンスグレーの紳士は俺の期待以上に見事に敗戦し、尻から全てを出し終えたのだった。
決して人前で出してはいけない腸内の産物全てを・・・。
さあ、お楽しみはこれからだぜ。パンツの中がどんなことになっちまったか、じっくり確認させてもらおうか。