かわやで踏ん張る和尚

朝一番の座禅を終えると、岩鉄和尚は畑の手入れに向かう。
私は家に戻り、くりやで働く奥さんを手伝う。することは山ほどあるのだ。
和尚は私がくりやに入ることをたいそういやがっていたが、奥さんは助かると言っていつも喜んでくれた。
それでも、朝げの後は私も寺の掃除があるからと言い訳してくりやから遠い本堂へ向かう。
そして、岩鉄和尚が草履をがらがら言わせながらかわやへ歩いてくるのを待つ。それほど長く待つこともなく、いつも和尚は来てくれる。
ゆっくりと歩みを進める師匠に対して、私は本堂の裏の狭い小道を足音を忍ばせて矢のように走り抜ける。後ろ側が大きく開きっ放しのかわやに着くのは私のほうが先だ。
身をかがめて息を殺していると、どっこいしょ、と石段を重々しく踏み締めて岩鉄和尚がかわやの前に立つ。扉を開ければ、こびりついた糞のカスまできれいに掃除したぴかぴかの床が目に入るはずである。
しかし、我が師匠はさすがと言うべきか、そんなことでかわやの様子が変わったとはまるで思わないらしく、太い眉一つ動かすこともなくどたどたと中に入ると、便所穴の横に足を置くようにして後ろ向きに立った。
床下にひそむ私には気づいていない。いや、気づかれずでいいのだ。これから岩鉄和尚様の朝のお通じを間近にじっくりと見させてもらうのだから。
 
袴を持ち上げ、褌の前だれを取ると、便所穴に向かって茶ばんだ布がはらりと落ちてくる。
三日も取り替えていないこのさらしには小便と糞のシミが山ほどこびりついているのだ。私は手を伸ばして和尚の褌を捕まえると、袴を持つごつごつした手に切れ端を持たせた。
それでも和尚は気づかない。東司を大切な修行の場と考えている師匠だ。すでに腹の中の糞のことで頭がいっぱいなのだろう。
それでいい。和尚がどっかりと便所穴の上に太い腰を落としてでっぷりと張り出した大きな桃を突き出し、割れ目の真ん中で見事に茶色く汚れている穴を丸出しにしたとき、私はその臭い穴に鼻を付けていた。草むらでさせてもらったときよりずっとやりやすい。
岩のような尻たぶに手をかけ、毛の多い割れ目をぐいと押し割ると、茶色のカスがこれでもかとこびりついた我がお師匠様の尻穴が何の抗いもなくくぱあっと開く。ひだの奥までのぞき見させてもらいますぞ。
ぷううううううう、ぶべえええええ。体に似合わぬかわいらしい屁を長くこいたかと思うと、今度は大男らしい低く汚らしい屁を長々と私の鼻にふっかけた。くせえよお。
たまらず、修行中の岩鉄和尚の汚い尻穴にちろちろと舌を這わせる。苦い。そして、カスがうまい。
くぱあっと開いたままの尻穴に舌を差し込む。苦いひだですなあ。まだ気づきませんか?
二人に静寂が訪れる。ふうふうと息を整え、糞をひねり出そうと試みている四十八の生臭坊主。和尚の生臭い穴に舌を入れ、太った腹の奥から太い糞が動き出すのを今か今かと待っている十八の弟子。
間違っても尻穴の中で舌を動かしてはならない。岩鉄和尚自らの腹の力で糞を押し出してもらうのだ。修行の邪魔をして師匠への礼を欠いてしまってはならない。
この静寂が、日々の修行の中で最も気を張るひとときだ。東司はやはり修行の場である。舌を動かさぬよう鍛錬し、師匠の糞が出るまで心を静めてひたすらに待つ。
ぶへっ、ぶへえっ。今の屁は咳が出るほど臭かったが、私はこらえた。そしてまもなく、ごつごつした糞の頭が舌に向かって押し出されてきた。苦く温かい肉のカスだ。
ああ、私の舌をくわえたままで岩鉄和尚が糞をひねり出している。気づかぬわけはない。気づかぬことにして、私にさせているのだ。糞の頭が尻穴の入り口をぐばあっと押し開くとき、決まってそのことに気づかされる。
尻の穴が大きく口を開けたところで、和尚は必ず力むのを止める。茶色くて臭いカスに飾られた肉壷の真ん中で、湯気を立てる生臭い糞が惜しげもなく焦げ茶色の岩肌を見せているのだ。
私も必ず、その熱い岩肌にべったりと舌を当てる。くせえ、くせえ。
糞だけでなく、穴のひだも玉袋の裏も、毛だらけの臭い割れ目もべろべろとなめ回す。私が心を満たすまで静かに続く。和尚は糞をこらえながら私がなめ終えるまで静かに待っているのだ。
 
私が岩鉄和尚の開き切った穴にかぽりと唇を合わせると、堅い糞がぬるりと動き出す。
「ふんっ!出るぞ・・・。」
誰に言うわけでもなく和尚が力んだ声で一言つぶやく。私はこの低い「出るぞ・・・。」がすこぶる気に入っている。これを言った後は間違いなく、むりむりと太い糞がうねりながら尻穴を押し開いて出てくるのだ。
私ののどに糞の頭が達するのもあっという間だ。ぐえっ、和尚様、くっせえよお。心の中で叫びつつ、糞を口から吐き出していよいよ手でつかむ。温かく、ごつごつとして堅い糞だ。
「んんんんんー。」
力み声を上げて、めりっめりっ、と穴がどんどん開く。太い両足でかわやの床に踏ん張る和尚。これぞ修行の真っ最中だ。ほどなく、一番太くなっている糞の腹がめりめりと押し出されてくる。
私はその腹をべろべろべろとなめ、めいっぱいに押し広げられた尻穴のひだを舌で幾度もつつく。ほれ、もっと出てこい。
出たばかりの糞からは、はらわたの中で蓄えられた熱が臭い湯気となってかわやに立ち上る。おそらく、本堂の裏まで臭みがただよっていることだろう。
何でも大食らいの岩鉄和尚様。芯のある野菜でもおかまいなしだ。大蛇のようにうねる堅い糞には、そのようなごろごろした食べカスがところどころに見え隠れしている。よくまとまった、いい形の、くっせえ糞でございますね。
いつか、このくっせえ糞にがぶりと食らいついてしまいそうだ。口の中に無理矢理押し入る頭も捨てがたいが、穴をぐばぐばと開いてひねり出されてくる腹のところはとりわけ食らってみたい。それに、最後ににょろりとすっぽ抜ける柔らかいしっぽも温かくて苦そうなのだ。
長い一本の糞が桶に落ちることはない。私が両手でずっしりと受け止めている。
じょろじょろと小便をする間、私はまたも和尚の尻穴に舌を入れる。今度はぬるぬると柔らかくてなめらかなカスにまみれた、ほんとうに生臭い糞壷だ。苦みもなかなかのもの。んー、うまい。
小便が出終わるとまた静寂が訪れる。我が師匠も2本目が出せるか、ふうふうと息を整えている様子。出るなら出せ。弟子が口で受けるまでだ。
ぶっへえ、ぶびびっ。音は汚かったが味の薄い屁が出た。名残惜しいが、これで終わりということだ。昼にまたでかいのをひり出す算段かもしれない。私はゆっくりと岩鉄和尚の臭い肉穴から舌を抜いた。
和尚も、どっこらしょ、と立ち上がる。穴のひだや毛だらけの割れ目に今出したばかりの糞のカスがたいそうくっついているが、私の知ったことではない。和尚の知ったことでもない。
褌と袴を整え、こちらを振り返ることなく大男の背中が木戸の向こうに消えた。あの茶ばんださらしにまた新たな糞のシミができる。夜の腰揉みが楽しみでならない。
 
「掃除は終わったのか?」
芋ほどもある重たい糞を抱えて急いで小道を戻り、本堂の裏から入ると、驚いたことに岩鉄和尚様が仁王立ちで待っていた。
いつもは私の部屋に糞を隠してからここへ戻ってくるのだ。和尚とはち合わせることなど、ないはずなのだが。帰りは早く歩いたのだろうか。
両手いっぱいに大人のでか糞を抱えた私の姿を和尚が岩のように見つめる。自分がしたばかりの糞をただ見ている。
「はい。かわやの掃除を終えました。残るは本堂でございます。」
岩鉄和尚はうむとうなずいた。二つあるかわやのどちらを言ったのか、和尚も私も分かっている。それだからこうして二人とも平常心でいられる。
「修行はできたか?」
「はい、和尚様。このとおりでございます。」
私は和尚に焦げ茶色の糞を少し掲げてみせた。悪い弟子だと思われただろう。それでも見てもらいたかった。己がどれだけぶっとい糞を産み落としたのかを、はっきりと、だ。
「静寂に任せるのだぞ。東司は静寂の場であるからな。」
私は「はい。」とだけ答えた。どんどん本堂が生臭くなってきた。両手に余る芋糞は未だに湯気を立てている。
「私はこれを部屋に置いてからこちらへ戻ります。」
思い切ってそう告げてみたが、師匠はまるで気に止めていなかった。畑に出るらしい。
「昼も修行に励むのだぞ。」
山のような尻を揺らしながら岩鉄和尚様が去っていく。昼の修行とは、まさしく和尚様の昼のお通じを頂く場のことである。