悪役無惨#8

むりっ!むりっむりっ!むりむりむりっ!
赤のさらしの間から、なめらかな茶色の固形物が肛門をもりもりと盛り上げてのっそりと太い胴体を表す。
「うっ、ううっ、ううっ、ああ・・・!」
完全に足が止まってしまったドラグール大王の口から弱々しいうめきが漏れる。
下級生チームはその絶望的な声色に気づくわけもなく、千載一遇のチャンスと見て一斉に巨体を押し出しにかかった。
じりじりと後ろに押される熊田さん。なんとか押し返そうと、体に力を込めた。それが間違いだった。
めりめりっ!めりめりめりめりめりめりめりめりっ!めりっめりっめりめりめりっ!
熊田さんの堅めの太いウンコが切れ目なく剛君の両手の上に受け止められていく。
我慢していた物を一度力んでしまえば、始まった排便を止めることなどできない。ましてや、正面から6人の子供たちに押し込まれているのだ。
後ろに下がらないようにこらえればウンコが出る。こらえなくてもウンコが出る。肛門括約筋に押し出されて、ウンコが出る。
「ああ!あああ!出る!出るう!」
土俵から出てしまう、という意味に取った6人が力を合わせてドラグール大王を追い込む。東側の応援も割れんばかりだ。
むりむりむりっ!めりっめりっめりっ!むりむりむりむりっ!めりめりめりめりむりむりむりむりっ!めりめりっむりむりむりむりっ!
大応援の中、私と剛君の耳には55歳の男の自然排便に合わせてケツ穴から発生する生々しい音が聞こえていた。
剛君の両手の上では30cm近いサツマイモが湯気を立てている。なかなかぶっといウンコだ。
熊田さんのでかい尻がぷるぷると震えながらどんどんこちらに後ずさりしてきた。茶色いウンコが丸見えだ。
「ああ!あああ!出るう!」
めりめりめりめりっ!むりむりっめりめりめりっ!めりめりめりめりめりっ!むりむりむりむりむりむりりりりりっ!
太くて長い健康便が全部出たところでドラグール大王の太い片足も土俵から出た。下級生チームの勝利だ。
みんながわあっと歓声を上げる。その一瞬を剛君は逃さなかった。
堅いウンコを大事そうに両手に抱えながら、未だ尻を突き出した格好で立ち尽くしている熊田さんの毛深い割れ目にぴったりと顔を埋めたのだ。
ほんの2、3秒の出来事に熊田さん本人さえ反応できなかった。
尻から顔を離した剛君が私のところへ来て、取れたばかりの中年の太いウンコを自慢げに見せた。にやっと笑うと、舌を突き出した。
そこには、黄土色の軟便がねっこりとたくさん付いていた。短い毛まである。やはり、排便直後のケツ穴をなめ、中に舌を入れて味わったのだ。
私は急いで背後のロッカーを開けた。私の書類を入れる場所だ。剛君はすぐさま理解して、書類の一番上に熊田さんのほかほかのウンコを寝そべらせた。
辺りにはむわっと臭い匂いがしていたが、下級生チームは東側にはしゃいで戻っていったし、ウンコはロッカーに保管したので匂いでばれる可能性は低い。
「下級生チーム、すごいねえ。奇跡の逆転勝利!さあ、上級生チームも負けていられないね!次で最後の試合です!」
私が高らかに宣言すると、上級生チームの4人が土俵に上がった。
二人の横綱を真ん中に配して一つのスクラムを組んでいる。壁のように押し負かす編成にしたようだ。
ドラグール力士はといえば、取り組み中にウンコしてしまったことに相当ショックを受けているらしく、ぼうっとつっ立っている。
回しはまた元通り割れ目に深々と食い込んでしまった。一見して、この親父の尻が排便直後であることは全く分からない。
熊田さんは土俵を見下ろしたり、背後を振り返って床や剛君や私を無言で何度も見ている。
自分が出したウンコが見当たらず、いったいどこに行ったのかと混乱しているようだ。
確かに、30cmを優に越えるでっかい一本糞だった。一度にひり出した感覚はあるのに、何も落ちていないというのはどう考えても不思議なことだ。
それでも、逆に痕跡がないことに安心したのか、胸を張り直して土俵に進み出た。剛君はしきりに手の匂いを嗅いでいる。
「ワシをここまで追い詰めるとは大したものだ!だが!次は負けんぞ!」
いつもの「ぐははははは!」が出ない。心の中ではまだ引きずっているんだ。剛君はしきりに手の匂いを嗅いでいる。私にも嗅がせてほしい・・・。
「本気でいくぞ。」
蹲居になった熊田さんの割れ目にはぺたぺたと黄土色の軟便がくっついている。さすがは排便直後の親父の尻だ。
一方、くぱあっと開いた雄穴は剛君の唾で湿っていて意外と汚れていない。あの短い時間にむしゃぶりついたんだな。
くせっ・・・!私が熊田さんの穴を観察している隙を狙って剛君が手の匂いを嗅がせてきた。
なめらかな大便を受け止めた両手は腸液でぬるぬるだ。鈍く光っている。
ウンコはほとんど付着していなかったが、触ったばかりの熊田さんの排泄物の濃厚な悪臭が鼻を突く。
ほんとに生臭い。私がくんくん嗅ぐのを剛君がおもしろそうに見ていた。ああ、親父のウン汁くせえなあ。
 
「はっけよい!のこった、のこった!」
二人の横綱がドラグール大王のでっぷりと太った胴体に突進し、両側の二人が太い腕とがっしりした肩をそれぞれ押さえ込んでしまった。
「ぐははは!その手で来るか!ならば、全力で押し出すのみ!ぐおおお!」
絶叫と同時に太い両足に力が込められ、筋肉の詰まったふくらはぎがぱんぱんに膨れ上がった。大王が突進する!
と、誰もが恐怖に固唾を飲んだ瞬間。
・・・ぐびりっ!ぐびぶううううううういいいいいいいっ!
あまりに水っぽく長い長い放屁の間抜けな音に、静まり返っていた室内がぎゃはははははと爆笑の渦に変わった。
「誰だよ!」「きったねえ!」「今の、屁だよね?」「漏れたんじゃね?」
熊田さんのうなじがほんのり赤い。きっと仮面の下は口から火を噴くほど羞恥の赤に染まっていることだろう。
力が入らずへっぴり腰になる大王を、上級生チームは容赦なく押しはじめる。大王も悪のプライドをかけてなんとか踏ん張るのだが。
ぶびびっ!ぶりりりみちみちみちっ!
「あっ・・・!」
今日聞いた中で一番情けない声だった。
赤の回しの分かれ目をこじ開けるように、2本目のウンコがぬぐうっと顔を出した。黄土色で、1本目より柔らかそうだ。
むりむりっ!みちみちみちっ!ねちねちねちねちっ!みちっみちっむりむりむりむりっ!ねちねちっねちねちっねちねちっ!
「ああ!くそお!あああ!出るう!出るう!」
羞恥に打ちひしがれた中年男の断末魔。剛君が両手を伸ばして、熊田さんの排泄途中の太く垂れ下がったしっぽをそっと受け止める。
めりめりめりっ!むりむりむりむりっ!めりめりっめりっめりっ!みちみちみちねちねちねちねちっ!ねちっねちねちねちっ!むりむりむりりりりっ!ぶりゅりゅりゅりゅっ!
2本目にしては20cmくらいある太いウンコを全力で押し出したドラグール大王。有言実行。立派な大人の鏡だ。
仕上げに放たれた泥状の便で、赤褌の後ろがぷっくらと膨らんだ。大王の足は両方とも土俵から出ていた。
私と剛君は慣れたチームワークで、ロッカーの書類の上に2本のウンコを並べた。それにしても、今回のはかなり生臭い。
上級生チームはあっけない展開に戸惑っていたが、やったな、とお互いをねぎらいながら東側へ戻っていった。
熊田さんは呆然と動けないでいた。はっとなって、辺りをきょろきょろと見回す。自分が出した2本目のウンコも見つけることができないようだ。
それより、回しの後ろに出してしまった柔らかい汚物が気になるのか、子供たちに向かってぐはははははと笑い出した。
「お前たちの強さに完敗だ!今日のところはこれで退散するとしよう!悪の大王ドラグールは不滅なり!ぐははははは!さらばだ!」
進行役の私を無視してそう大声を張り上げると、こちらに向き直り「ちょっと着替えてきます。」と早口で言って、そのままダッシュで準備室に飛び込んでしまった。
ぶるんぶるんと筋肉が跳ねるでか尻の奥で、縦に走る鮮やかな赤褌の中央が黄土色に変色しているのを私は目に焼き付けた。剛君もしっかり見ていた。
「なんか部屋臭くね?」「ウンコくせえ!」「やっぱ誰か漏らしただろ!」「窓開けようぜ!」
この強烈な生臭さでは男児たちが異臭に気づかないわけがないか・・・。なんといっても、犬の糞並みにつんと鋭い、湿った実の匂いだ。
私が西側から離れようとしたとき、土俵にしゃがみ込んでいた剛君が目の前に来て、ぱっと片手を開いた。
「先生、どっちにする?選んでいいよ。」
堅そうな茶色の大豆と、柔らかそうな黄土色のチョコ。熊田さんに対する少年の強い執着心に感心しながら、私は大豆のほうをつまみ上げた。
「ありがとう。」
剛君は笑顔でうなずき、勝ち取った黄土色の塊を舌に乗せた。私も一緒になって茶色の塊を口に放り込んだ。
うえっ、くっせ・・・!大豆を味わうより前に、鼻を突き刺すような鋭い生臭さに私は顔をしかめた。鼻に覆いかぶせられた手の先で剛君が笑っている。
あの熊親父、すげえ下痢くせえウン汁出しやがったな。私は遠慮なく少年の汚れた手をくんくんと嗅ぎまくり、舌で大豆をほぐしてドラグールの恥ずかしい苦みを味わった。