悪役無惨#1

今日は、内の学童クラブにドラグール大王がやってくる。
といっても、中身は当然人間。
市役所にかけ合って、子供たちに節電について知ってもらうための寸劇をやることにしたのは一月ほど前のこと。
企画から一緒に作ってくれた熊田さんという職員のおじさんが、電気を食らう悪のドラグール大王の役まで買ってくれた。
「ライトレンジャー」というテレビアニメでも、いかめしい面構えの大王は、悪役キャラとして子供たちに非情に人気が高く、
着ぐるみも私の知り合いから貸してもらえることになり、晴れて実現したのだ。
なにより、この熊田さん、まさに実写版ドラグール大王といったいかつい風貌なのである。
今年55歳になったと聞いたが、体がでかく、でっぷりとしている。90キロ以上はあるだろう。
話好きで、笑うといかつい顔がたちまち愛嬌のある顔に変わる。
親父好きの私は、密かに彼との打ち合わせを毎回楽しみにしていた。
 
「ぐははははは!!我が名はドラグール!!宇宙を支配する悪の大王だ!
今日はこの町の電気を全て残らず食らい尽くしてくれるぞ!」
急ごしらえのステージに、黒い巨体のドラグール大王が怒号とともに現れると、低学年たちがどよめく。
そのタイミングでステージの上以外の電気を落とす。
夕方の室内は思ったより暗く、突然の変化に女児が小さく悲鳴を上げる。
「この部屋の電気はいただいた!お前たちの家の電気も食らい尽くしてくれる!
テレビもゲームも、何もかも動かなくしてやるぞ!ぐははははは!!」
黒い口から生えたぎらぎらした牙をぎいっと動かして笑う。ものすごい迫力だ。
男児は怖がるというよりすっかりはしゃいでいる。
黒いマスクの下から鳴り響く雷のようながらがら声の効果もあって、
うそだと分かっていても、テレビの中からほんとうに大王が抜け出てきたかのような興奮が子供たちを包んだ。
黒の着ぐるみには、ごつごつした鱗のようなものやかぎ爪、ぎざぎざの付いた長いしっぽまで生えている。
素肌に直接身に着けるはずだから、中の熊田さんは熱くて大変だろう。
しかし、熊田さんのでっぷりした体のおかげで、ほんとうに迫力があった。
体にぴったりフィットしているので、強そうな太い足も、どっしりとした腰周りも、そのラインがよく分かる。
特に、長いしっぽの付け根にある、どんと張り出した尻がバスケットボールのようにでかく、
オーバーな動きをする度にぶにんぶにんと揺れる。
その尻が、ステージの横に立つ私の性欲を大いに刺激した。
ドラグール大王は、その巨体でステージの上をひとしきり暴れてから、いよいよ子供たちのいるほうへ乱入していった。